栄永

眠れる獅子は夢に揺蕩う

奇妙なお茶会 後編

応接間の空気は最悪だった。 ローテーブルをはさみ、クロエとフェリシアは友人の婚約者と対峙している。二人の寮生を背後に置き、三人掛けのソファの中央にひとり座す男──レオナ・キングスカラーを、クロエは正面から睨みつけた。 獅子の鬣を思わせる長髪...
眠れる獅子は夢に揺蕩う

奇妙なお茶会 前編

しまった、と我に返ったときには、もう遅かった。の指先から試験管がすべり落ちる。 実験室にガラスの割れる音が響いた。「!」 遠くでクロエの叫ぶ声が聞こえたが、そちらを向く余裕はなかった。視界がぐにゃりと歪む。は立っていられなくなり、その場にう...
眠れる獅子は夢に揺蕩う

導きの星

百獣の王の時代、王族は生まれたときから結婚相手が決まっていたという。 ――否、王族に限った話ではない。選択の自由がないのは、なにも結婚相手に限らない。〝夕焼けの草原〟に生まれた人々は、なにもかもが生まれの時点で既に決められていた。 本人の意...
眠れる獅子は夢に揺蕩う

再会、そして別れ

ナイトレイブンカレッジでのマジカルシフト大会は、それはそれは大盛況のまま幕を閉じた。 レオナ率いるサバナクロー寮は惜しくも優勝を逃したが、憧れのレオナのプレーを間近で見ることができたチェカは大喜びだった。 チェカの身に危険が及ぶようなトラブ...
眠れる獅子は夢に揺蕩う

定められた運命

――一年前。「……レオナさま。起きていらっしゃいますか」 アルコーブベッドに寝そべるレオナに、はそっと声をかけた。 とある日の、昼下がりのことである。 レオナの部屋のあらゆる窓に取り付けられた重厚なカーテンは、ひとつ残らず閉ざされている。瀟...
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